やっくんを止めろ!


499 名前:やっくんを止めろ! ◆8uJZWGzz3U  投稿日:04/09/08 13:27

「ごめんねぇ!」
とあるライブの楽屋で放たれた声。
その声の主、あばれヌンチャクのやっくんこと斎藤恭央は終始ニヤついていた。
「スケッチブックネタすんの俺らだけになったらひっぱりだこじゃん。
その為には君達、邪魔なんだよねぇ。」
彼が話しているのはスケッチブック。
そこには写真のように鮮明ないつもここからが描かれていた。
「斎藤…」
そこに話し掛けるお兄さんこと竹内幸輔。
心配そうだ。
「何ビビってんの?石の力なんて芸人しか知らないんだぜ。捕まる心配なんて無いんだ。
さぁおいら達はこのライブ出ないんだから、さっさとズラかろう!
そうだ!ここまで来たら、全芸人閉じ込めて俺らの天下にしよう!うん、そうしよう!!」
「斎藤、お前…」

「やっぱり…いけないと思うんだ。」
とある喫茶店。
奥の方に座ってる男が2人。
口火を切ったのは竹内幸輔だった。
「いつか気づいてくれると思ってた。でも無理だった。ごめんなさい。忠告してくれてたのに。
俺一人の力じゃ駄目なんだ。今更だけど、協力してくれませんか?」
二人の間を流れる静寂。
「…そんなの当たり前だよ。決心してくれて嬉しい。
 そもそも、吉本に入ったのは石の力の乱用を防ぐため。そんな俺が見捨てるはずないだろ。」
この男の名は南野やじ。
昨年フリーから吉本に入ったピン芸人だ。
「一刻も早い解決に向けて早速作戦を練ろう。」

こうしてこの男達は、コーヒー1杯で6時間粘った…


ある日。
あばれヌンチャクの2人はルミネtheよしもとの近くにいた。
吉本芸人をスケッチブックに閉じ込めるためである。
ニヤついてる顔の斎藤と浮かない顔の竹内。
「やっぱり、やめたほうが…」
「あ?今更何言ってんだよ。」
竹内を睨み付ける斎藤。

しばらくするとペナルティのヒデが目の前を通り過ぎた!
「よし、行くぞ!って、え?」

竹内の姿が見えない。

「何だよ逃げたのか?まあいい、今はこっちが先決だ。」
ヒデを尾行する斎藤。
「あいつには恥かかされたからな。その仕返しだ。」
しかし斎藤は気づいていなかった。
その後ろにもう一人ヒデがいたことを…

「ラッキー!人気の無いほうに向かってる。」
ヒデを尾行しながら呟く。
「ん?立ち止まったぞ。誰かと待ち合わせでもしてるのか?まあいいや。今のうちに描いちゃお!」
と、スケッチブックを取り出したその時。

ポクポク…

何か聴こえる。

気が付いた時はもう遅かった。
体が動かないのだ。

「斎藤恭央 直立不動」

お経のリズムに乗って繰り返し聴こえて来る声。
見なくても分かる。
南野やじが現れた。
でも、何で?

斎藤。」
え?え?え?
何でヒデが声かけてくるわけ?
見つかっちゃった?
「俺だよ。」
次の瞬間目の前に現れたのは相方の竹内だった。

何だよ。
石で変身してたのかよ!
つーかこいつら何の真似だよ!

やじと相方がうなずきあった。
「斎藤、もうやめよう。このまま全芸人を閉じ込めても意味無いよ。」
意味無い?何言ってるんだお笑い界は俺らの天下じゃん。
「お前力を使いすぎたんだよ。休もう。ゆっくり考えればどんなに馬鹿げた事か分かるから。」
俺は元気だ。石ごときで力を消費したりしねぇ。

「思い出せよ。何でお前がお笑いを目指したか。確かに有名になりたかったのもあるけど、
 ジャリズムさんに憧れたからだろ。ジャリズムさんが一からやってるのに何で俺らがズルするんだよ。
 そんなのおかしい。」
「2人だけ残って何をする?みんなで面白くなろう!みんなで売れようよ…」

……

「もうお経止めていいよ。」
手を止めるやじ。
「っはぁはぁはぁ…」
汗はダラダラ。
「…丁度良かった。そろそろ危なかったよ。」

一方、斎藤は複雑な顔で立ち尽くしていた。
「さあ、スケッチブックを振ってみんなを出して。」
「う、うん…」

バサバサッ!

次々と閉じ込められてた芸人が出てくる。
いつもここから・鉄拳・きくりん・ブラザースetc...

「ってめぇ!」
殴りかかろうとするブラザース石割。

「ごめんなさい!」
竹内が土下座を!?
「もう二度とこんなことしません。させません。だからこの場は許してください!」
「僕からもお願いします。」
何とやじまでが!?

「ちょっ…そんなに言われると何も出来ないやん。しかも何か知らないけど無関係なやじくんまで!
 分かったよ、おとなしく帰るからホントにもうするな!」
「すみません。ありがとうございます。」
去っていく芸人達。

フラッ
バタッ!
「斎藤!」
斎藤が倒れた!やっぱり疲れてたんだ!
「やじさんすいません。手伝ってもらえます?」
「もう、疲れてるのになぁ。」
と笑って答えた。

アハハ…久しぶりに笑った気がする。

「…ハイ!やっくん列車一回百円!安いよ安いよ〜!」
あ〜、待って待って!乗ります!
「何?お前も?助手席に乗りゃいいのに。」
誰かに譲るよ…と言う。
相方のこんなさわやかな笑顔、久しぶりに見る。
「また疲れてぶっ倒れるなよ。」


 [あばれヌンチャク 能力]
 [南野やじ 能力]