バカルディ・151プルーフ[8](side:三村)


376 :バカルディ・151プルーフ◆yPCidWtUuM :2006/03/13(月) 21:45:30 

十字の光が入った黒い石。透明で虹色の光がちらつく石。 
ポケットからとりだしてテーブルの上ではじく。 


「『ブラックスターとレインボークォーツを渡せ』、ね」 


居間で相方と顔を突き合わせつつ石を眺めてみる。 
確かにこの2つがあれば、使い方と相性次第でそれなりに誰でも身を守れるんだろう。 
まあ、俺にはレインボークォーツは使えないんだが。 

…渡せ、って言われておとなしく渡すつもりはなかったんだけどよ。 

ちょっと心の中で呟いてみる。でも三村にそんなことは言わない。 
結構真に受けるところのある相方に、よけいな心配をさせる必要もないだろう。 
要は優先順位の問題だ。今は俺のプライドより三村の家族の方が重い。 




「でもあれだろ、俺らが黒に入るんならお前の石、わざわざ渡すことねぇだろ」 
「まあな、ブラックスターは現状維持だろうけどよ」 
「レインボークォーツは黒の上の奴に渡すとかか?」 
「かもな、コレ使えたら結構強力だし、持っていきてぇだろ」 
「けど使うと記憶消えるんだよなあ」 
「あ、そうか、お前こないだコレ試したもんな」 
「おう、お前はダメだったけどな」 
「ああ、ダメだったなー…つうかアレだな、琥珀はいらねぇんだなアイツら」 
「リスキーすぎんだろ、アレは…もう事務所に返してこいよマジで」 


そんなふうにぽつりぽつりと会話を続けていると、玄関のチャイムが鳴る。 
嫁さんか? と三村に視線で尋ねると、軽く首を傾げて出ていった。 


「はい、どちらさんっすか?」 
『どうも、三村さん』 
「…誰だ、お前」 


玄関から聞こえてきたやりとりに嫌な予感がして顔を出す。 
三村が剣呑な表情で扉の向こうと会話していた。 



『黒のモンです、開けて下さればわかりますよ』 


その台詞を聞いて扉を開けようとした三村を見て、とっさに石を握り込む。 
ぐっと手に力をこめると、無色透明の「世界」が広がって、三村ごと周囲を包んだ。 
次の瞬間に玄関扉が開き、立っていた人物の姿がはっきりと目にうつる。 


「どうもこんばんは、お久しぶりです」 


扉の向こう、悪びれない様子で話しかけてきたのは見知った顔。 


「…土田」 


U-turnの土田晃之が、そこには立っていた。 

[土田晃之 能力]