バトロワ風[13]


114 名前:現在執筆中 ◆n28wRDMeV2   投稿日:04/11/12 03:04:05

―ピッピッピッピッ。

徐々に首輪の電子音が早まっていく。
須知も小木も矢作も、そして井戸田も、小沢を見ていた。
「…何で…俺…何も・・してないよね?」
小沢は自分の首輪に手を掛けて言った。
何故首輪から電子音が聞こえてくるのか。
自分は、何もしていないはずだ。首輪が発動する理由等、何処にもないのに―――。

小沢は、首輪を引っ張ってみるが首輪はびくともせず、取れない。
「小沢…!!」
思わず井戸田が、小沢に駆け寄ろうとする。
「来るな!」
「――!?」
井戸田が近づいてくるのを、小沢は鋭く叫んで制止した。
近づこうとする井戸田の身体がピクリと震え、その場に止まる。
このまま近寄られたら、首輪の爆発に井戸田も巻き込んでしまうだろう。
そう小沢は考え、自分に近づこうとした井戸田を制止したのだ。

―ピピピピピピピピピ
そうしている間にも、徐々に電子音が早くなっていく

『ああ、俺、死ぬんだ…。』
電子音を聞きながら、小沢はそう思った。
その時、小沢のポケットに入っていた石が光った。
光ると共に、空間が崩れ、目の前は闇に包まれた。
そこでまた蒼い光が、小沢の目の前に現れる。
『…また…お前か…。』
小沢は、蒼い光に向かって言った。
蒼い光は、小沢に語りかけてくる。

―ホラ、「チカラ」ヲ使エ。

―今絶対絶命ダロウ?
『嫌だ…また、さっきみたいに皆を殺す気だろ!?…潤から全部聞いた…それなら
死んだほうがマシだ!』

―…貴様ガ拒モウトモ、我ハ貴様ニ死ナレテハ困ルノデナ。
―ソレニ、感ジタ。貴様ノ「絶望」「苦シミ」「憎シミ」
―死ヲ前ニシタ。「恐怖」モナ!!

蒼い光が辺り一面に広がる。
その光は闇をも飲み込む勢いで小沢に襲い掛かる。
『嫌だ!嫌だ…ッ』
小沢はそれを拒んだ。

―ソレラハ全テ我ノ糧ニナル。
―貴様ガ幾ラ拒モウトモ、貴様ノ「負ノ感情」ハ我ノ「チカラ」トナル
―サァ、全テ我ニ捧ゲヨ。
―全部任セレバイイ。

蒼い光は、徐々に増して、小沢を包んでいく
『嫌…だ…誰かっ…助け…』
小沢の視界に、蒼い闇が広がった。
まるで蒼い闇に溶け込んでいくかのように、意識が無くなっていく。
自分が自分では無くなって行く。別の何かが「自分」になっていく。
そんなモノを感じながら、小沢の意識は無限の蒼い闇に飲み込まれていった。