バトロワ風[8]


577 名前:ビッキーズ VS おぎやはぎ編 現在執筆中 ◆n28wRDMeV2   投稿日:04/09/13 22:41:58

「……おい、須知!何で焔に囲まれてるのに、熱くないねん!」
燃え盛る焔の中、木部は須知に問いかける。
「知らんがな!!…って…俺の石や!!」
須知は自分の石を手に取ると、叫んだ。
須知の持つ石は、眩しいほどの水色の光を放つ。
「…お前の能力…焔を防げるんか?…凄いなぁ〜…俺なんて何にも役にたたへん…「飴ちゃん」て…地味やな」
木部ははぁ、とため息を吐く。
「まぁ、人間地味な人もいますからね〜。」
須知がおどけた様に言う。
「誰が地味やねん!!」
木部がそう言いながら須知の肩を叩いた。

須知はワザと痛そうに演技をするが、その後、ある事に気付く。
「いった〜…!…って、お前!手が動いたで?!今!!」
須知は叫んだ。
木部は少し戸惑って
「手が動くって…当たり前やんって…!あ・・・。」
木部は手足をバタつかせてみる。
手足は自分の意の赴くままに動き、軽い。さっきまでの重さは消えていた。
「…動ける!!俺動ける!!」
木部は驚き、須知の顔を見た。
「動ける!?じゃあこんなとこさっさと出よ!!」
須知は木部の手を掴むと、焔の外に向けて走り出した。
「く…熱い…。何だか…段々焔の勢いが増してる…。」
須知はだらだらと流れる汗を拭いながら走る
木部も須知に手をひかれるままに走る
そして、木部はある事に気付いた。

「おい…須知、お前の石…光が弱まってる…?」
木部が須知の握る石を指差す。
須知は立ち止まり、石を見る
先ほどまで発していた美しい水色の光が、消えかかっている。
「…ホンマや!!もしかして…この石の光が無くなったら…俺ら…」
二人は自分たちが焼かれる姿を想像し、身震いした。
「と…兎に角急がな!!はよ行こ!!」
二人は全速力で走った、真紅に燃える焔の中を、そして―――――。
「…!!出口や!!」
須知が叫んだ。焔の奥に、微かに見える、外の草原。
二人は草原を目指して走った…が。
焔が突然勢いを増し、二人を外に出そうとしない。
外は完全に焔に閉ざされてしまった。
二人は焔に体当たりするが、石の力が弱まってしまっているせいか
焔の奥にある外界に出れない。

「…!畜生!!俺はこんなところで焼け死ぬのはゴメンや!!外に出せ!!」
須知は焔に何回も突進するが、焔は勢いを増すばかり
焔が見る見るうちに、熱さを増し、二人の水分を奪う。
「須知…俺たち…こんな所で死ぬんか…?」
木部が、突然弱気になり、須知に尋ねる。
「アホか!?弱気になるな!必ずどっかに突破口はあるはずや!お前のバッグに何が入ってる!?」
須知は、木部の持つバッグの中身を尋ねた。

「…俺の作った飴ちゃんしかない…。」
木部は苦笑を浮かべるとそう言った。
「飴ちゃんだけ!?そんなバカなこと…貸せ!!」
須知は木部からバッグを奪い取ると、バッグを開け、中身を見た。
バッグの中には、木部の言った通り「飴ちゃん」しか入っていなかった。
「…飴ちゃん…だけか…俺ら…まだ死にたくないのに…」
須知の石の光は今にも消えそうだ、この焔に自分達は焼かれ、死ぬのか。
心の奥から湧き上がる絶望と悔しさに、たまらず須知は飴ちゃんを大量に掴むと、叫び、そして
「ちきしょぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
飴を思い切り焔に投げつけた。
すると、二人の石が眩い程の光を放ち始めた
「!?!!?何や…!?」
二人は思わず眼を瞑る。

そして、焔に当たった飴が、パァン!と音を放って破裂し、物凄い風が起き
眩い程の光を放つ、風は焔を切り裂き、二人を蒼い空の下へと導く。
風で草木が舞い、ハラハラと堕ちた。
「…何やったんや…今の…」
光が収まり眼を開けると、其処には焔など何処にもなかった。
只、草の焼けた跡が残っているだけで。
「…焔が無い…?」
「…須知…お前一体…何を?」
木部が呆然として、須知を見た。
「知らん…飴ちゃん投げただけや……。」
須知もただ呆然とするしかなかった。
「飴ちゃん投げたら…急に俺とお前の石が光ったんや…。で、この有様や。」
須知は周りを見渡した。
焼け跡が、周りの草原一帯を埋め尽くしている。
そして、須知は呆然としている小木を見つけた。
「…!!お前たち…一体何を…?」
小木は立ち尽くしたまま須知を見て言った。

小木はかなり混乱していた。
水色の石の光を見て、その石の光が弱まり、無くなるのを見たと思ったら
急に視界が真っ白に包まれて…
気付けば、自分の放った焔は何処にもなかった。
小木は身の危険を案じたのか、再び攻撃を仕掛けることにした。
「…お前たちは危険だ…!俺たちがやられる前に…消えてもらう!」
小木は再び二人の周りに焔を放つ。
須知と木部の周りから焔が噴き出した
しかし、草は殆ど燃えてしまっているため、あまり焔の勢いは強くならない。
小木の体力も底をついたのか、焔はあっという間に消えてしまい
小木の真紅の光を放っていた石も、光を失った。
「…貴方の、負けです…。」
木部は静かに呟いた。
小木は眼を見開いて何かを呟いている。
「俺は…まだ負けてねぇ…それに、矢作を…矢作を守らなくちゃいけねぇんだ!!!」
小木がそう叫んだ瞬間、小木の石が真紅の輝きを取り戻す。

そして、再び焔が、二人を取り囲む。
焔は勢いを増し、あっという間にビッキーズの二人を包んだ。
「…はぁっ…はぁっ…。」
小木は息を切らしながら、必死に二人を追い詰める。
だが、再び須知は「飴ちゃん」を焔に投げる。
焔は再び眩い閃光にかき消され、焔は消えた。
「…畜生…俺は…俺は…負けるわけには!いかねぇんだ!!!」
小木がそう叫んだ瞬間
小木の右腕が、焔を上げて燃え始める。
「!!小木!お前…やめろ!」
矢作は、ふら付く身体で何とか立ち上がると、小木に叫んだ。
「…喰らえっ!!」
小木は燃え盛る右腕を二人に向かって振ると
真紅の焔が、先程とは比べ物にならないくらいの勢いをあげて二人に迫る。
「…燃えろ…!燃えて、無くなれっ!!」
小木は狂ったように叫びながら右腕を振るい続ける。
「…小木…くそっ!小木を止めなきゃ!お願いだ、光ってくれ!!」
矢作は自分の相方の動きを止めようと
石に念を込めるが、石は光る様子はない。
「光ってくれ…お願いだっ!!このままじゃ、小木が燃えて…。」
矢作は石に願った。このままでは、小木が燃えて無くなってしまうかもしれない。
長い間、一緒だった相方、誰よりも信用していた相方。
自分の、相方が消えてしまうなんて…矢作はそれを拒んだ。
「小木を、止めてくれ!光れっ!俺の石!!」
矢作は石を強く握り締め、願った
すると、石が眩いほどの緑色の光を放った。
そして・・・

「!?身体が…動かない…。」
小木の動きが、ピタリと止まった。
そして、矢作はふらつく身体で、ゆっくりと小木に近づく。
「…小木、負けたくないのはわかる…でも、俺…お前が居なくなったら
 何も出来なくなっちゃうじゃんか!」
矢作は小木の目の前に立つと、叫んだ。
「…矢作…。」
小木は静かに言った。
その途端、小木の燃え盛っていた右腕の焔が瞬時に消えた。
右腕は煙をあげていたが、すぐに煙は消えた。
「今は逃げよう。勝つには、それしかない。」
そう言うと、矢作は小木の左手を引いて走り出した。
「…矢作…ゴメンな…俺が不甲斐無いばかりに…。」
走り出してすぐ、小木が矢作に言った。
「…良いって、小木が死ぬより、逃げた方がずっと良いんだ!
 今は喋るより、逃げないと・・・。」
矢作はそう言うと走るスピードを上げ、森の方へ駆け出した。
「須知!あの二人が逃げる!」
木部が須知に向かって叫んだ。
「わかっとる!追いかけるぞ!」
須知は飴を数個手に取ると、走り出した。
木部も急いでバッグを抱えながら追いかける。

向かうは目の前に広がる薄暗い森。



597 名前:現在執筆中 ◆n28wRDMeV2   投稿日:04/09/15 00:08:54

須知 裕雅(ビッキーズ)

石・・・アクアマリン
能力・・・自分の漫才で使うハッピを着ればあらゆる攻撃を全て防ぐことが出来る。
     自分の近くに相方がいる場合は、相方も守ることが可能。
条件・・・ハッピを着ていないと発動しない。
     相方も守れるが、相方も守る場合、発動時間が極端に短くなる。
     須知の石が光っている間しか守れない。
     石が光を失ってから、5分程度、使用不可になる。

ビッキーズ・コンビ能力

能力・・・飴ちゃん光弾
木部の生産した「飴ちゃん」を須知が投げると発動
     須知が投げた飴が、相手に当たると飴が破裂し
風と光が起こると共に、相手が吹き飛ぶ。
     一個だと少し風が起きる程度だが、大量に当たると物凄い風と破壊力が生じる
条件・・・木部の生産した「飴ちゃん」じゃないと使用不可。
     須知が投げないと使用不可。(木部は使用できない
     大量に投げる場合、須知の手に相当の負担が掛かり
     投げすぎると須知の手が使い物にならなくなる。
     木部がその場に居なくとも二つの石が近くにあり、飴があれば発動させる事が可能である