暴走機関車ダンディ [1]


172 名前:じゃあちょっとためしに ◆dRwnnMDWyQ   投稿日:04/05/28 00:37

 ある日のライブだった。いつも通りダンディ坂野は快い笑いを取り、満足げにエンディングを迎えていた。
「ダンディさん、今日ウケてたじゃないですか!」
 若手がダンディに声をかけるとダンディは自慢げにペンダントを取り出した。
「このお守りのおかげだよ!」
 見ると模様の付いた石を皮ひもに通したペンダントが静かに光っている。宝石やパワーストーンの類ではなく、
何の変哲もない石に見えたがよく磨かれた表面はピカピカ光っていた。
「へえー、おまじないかなにかですか?」
「いや、ダンディこないだ家の前で拾ったんだよ。」

「ねえ、潤さん・・あの「石」・・・。」
 楽屋の側にいた小沢が井戸田の袖を引っ張った。
「うーん、まだ力は「発動」してないけど「石」だよな。」

二人は魔力を秘めた「石」を封印するために多忙な仕事の合間を縫って活動していた。

芸人の間で何者かがバラ撒いている「石」。悪用すれば世界すら征服するのも可能という恐るべき力を秘めている。
しかも、石の力を使う条件として、精神を操られたり、肉体にダメージを食らうなど
恐ろしい副作用さえある大変危険きわまりないものだ。

―芸人の仕事をしながら石を封印する。それこそが彼らと、その仲間たちの使命であった。

「ちょっとダンディさん。石を見せてくれませんか?」
 小沢がダンディにそっと近づいた。小沢もポケットから石を出す。それは青みがかった透明で大きさも似ており、
同じような模様が書かれているものだった。
「あれ?小沢くん、ダンディと同じような石持ってるんだね。」
「ええ、見せてくださいよー。そっくりですよねえ」
 首から提げたままのダンディの石を手に取ると自分の石を近づけた。

―よし、このまま封印できれば・・・。

その時ダンディの石が眩く輝きだした。井戸田が思わず叫び声を上げた
「あっ!小沢さん!ダメだ!!」

 その時だった。一瞬眩い光が楽屋を包んだかと思うと「ゲッツ!」と「キャーッ!!」という小沢の悲鳴が同時に聞こえた。
「小沢さーんっ!!!」
「イテテテ・・・。潤さん?」
 閃光に目が慣れるとゲッツのポーズを取るダンディと楽屋の端で転がっている小沢の姿が見えた。
「ダンディさん!どうしたんですか?!」
外での物音に気づいて部屋に入ってきた若手ににゲッツのポーズを取る。
「ゲッツ!」
「うわああっ!」
その瞬間、どちらかといえばデブキャラに近い若手の身体が
まるでなにかの見えない力に跳ね飛ばされるかのように簡単に転がった。
まるで吉本新喜劇でも見ているかのようだ。井戸田が慌ててダンディに駆け寄る。
「ダンディさん!とりあえずゲッツやめて!ゲッツダメだって・・・ってうわぁーっ!!」
 その瞬間井戸田の身体も吹っ飛ばされて小沢のすぐ側まで転がった。そろそろと身を起こす。
「潤さん、平気?」
「ああ・・・力自体は大したことないけど・・・。」

その時、ダンディの悲鳴のような声が聞こえた。
「うわー、ダンディ、ゲッツが止められないんだよー!!!」
「な、なんだってー!!!」

―これじゃうかつに近寄ることさえできないな。二人は思わず顔を見合わせた。


※オデンヌ◆wLquMgP52sさん「暴走機関車ダンディ#2」に続きます。
 [ダンディ坂野 能力]
 [スピードワゴン 能力]