387 名前:ジーク◆e1pN4M1XZc 投稿日:2005/04/28(木) 20:58:50 「よっしゃぁぁっ!!一丁あがり!」 体格の良いツンツン髪の男が吠える。 「やかましい……藤原、お前もそこに寝てる奴らと同じ様にシバくぞ。」 背の小さいロン毛の男が親指で指し示す方向には、5・6人程がグッタリと伸びていた。 「……井本悪かったって、しっかし…しつこいわぁコイツ等……」 藤原と呼ばれた男は、伸びている男達の側に屈みこみ、ポツリと呟く。 井本と呼ばれた背の小さい男は、フンと鼻を鳴らし伸びている男の一人の頭を踏みつけ、藤原同様呟く。 「黒のユニットって名乗ってたなコイツら。いきなり『仲間になれ』言うてきて断ったら俺らの石狙って襲ってきよるし……腹立つわ。」 軽く肩の辺りを一蹴りし、踵を返してその場を立ち去ろうとする。 慌てて屈みこんでいた藤原が立ち上がり、井本の後について歩き出す。 「早よ付いて来いや!あと20分もしたらお前グダグダになるんやから!」 「わかってるて!」 (一方的な)戦いを終らせ、その場を去る二人。 彼等は吉本興業所属のコンビ『ライセンス』の井本貴史と藤原一裕。 彼らはつい最近、この『石』を巡る戦いに巻き込まれた。 ちょうど今から二週間程前、偶然(必然?)に自らの持つ石に出会い、先刻同様黒のユニットに襲われ能力に目覚めた。 (もちろん、きっちりと完膚なきまでに襲撃者達は二人に叩きのめされた。) その事件以後、彼らは自らの持つ石を黒のユニットに狙われ、度々襲撃を受けて時には追い込まれながらもこれを退けていった。 無論、二人は白のユニットの存在を知ってはいた。 実際、四度目の襲撃の際に白のユニット(顔を良く見れなかったため、誰だったかは分からないが)に助けられた事がある。 だからと言って、井本はすぐには白のユニットに入る気は起きなかった。(藤原は入る気だったが井本の一撃の元に沈黙させられる。) 井本は考えていた。 藤原が何時だったか言った、二人でこの戦いを乗り切って行くのにも限界がある。 自分達を狙う黒のユニットより、自分達を助けてくれ尚且つこの戦いを終わらそうとしている白のユニットに入ろう!と。 その時は……藤原のみぞおちにコークスクリューを一発ぶち込みその話は終わったが…… 井本の心は揺らいでいた 暫く歩き、とあるオープンカフェに入る二人。 テラス席の端の方の席に行き、二人共グッタリとした様子で椅子に座る。 「藤原。」 「……ん、何や?」 先程と打って変わって、別人の様なローテンションで返事をする藤原。 藤原は石の能力を使用すると、反動でいつも以上にテンションが低くなり、思考もネガティブになるのだ。 「……切れたんか。まぁエエわ、とりあえず今後の俺達の身の振り方考えようや。」 「……身の振り方?」 突っ伏していた顔を上げ幽鬼の様な表情で相方を見つめ問いかえす藤原。 「お前はどうする?藤原。」 更に聞かれ……暫し沈黙する藤原。 微妙な空気が漂う。 |