GOOD NIGHT―良い夜を―[2]


602 名前:鹿島田 投稿日:05/02/04 17:52:45 

「…そうですか。」俺はそう言い、走ってくる二人を見据えた。
―可哀想に。田村がそう呟いた。


GOOD NIGHT―良い夜を―#2


修士さんの姿が消えた。
「田村!」「おう!」
そう確認しあうと、田村の石――、白水晶が光った。同時に、強烈な光が一面に広がる。
「ぐ!」「っち!」「…ナイス、田村。」俺は呟き、影の中に入った。
「!?川島は何処や!?」「ホンマや、おらへん!」
影から素早く体を出し、修士さんの手を掴もうとした。
その時。「…なーんてな。」「しまっ…!」
修士さんは後ろ向きのまま俺の手を掴む。
鈍く、石が光った。「っぐあ…!」
ミシミシ、ミシ…。
「川島ァ!!」
「血の流れを、変えたんよ。…おもろいやろ?」くくっと修士さんは妖艶に微笑んだ。
「川島ぁ!!」「田村君、ごめんなぁ?」そういって小堀さんは田村の両手首を掴んだ。


怖い、怖い、怖い。父親が出て行ったこと母親がいなくなったこと。
様々な恐怖が、俺を襲った。
「っは、うわぁぁぁぁぁぁぁあぁ…!!」


「田村っは、っち…!!!」掴まれた右手がビリビリと痺れている。
「俺の石の力は、『悪夢を魅せる』こと。…さぁ、川島君はどんな悪夢をみるんやろな?」
田村のほうを見る。田村はガチガチ震えていた。


駄目や…これ以上田村に戦わせるわけにはあかん…。街灯もあるし、なんとかいけるか…。
ビリビリと痺れる右手を睨み、石を発動させた。
「又か…学習能力、あんのかい?」「あるやろ。…ま、無駄な足掻きっちゅーやっちゃな。」
ズズズ…。ブロック塀の影からでる。
バキッ!
「てっ!」「小堀!…てめぇ!」
修士さんが殴りかかってきた。
―好都合や。俺は瞬時に修士さんの手首を掴み、石を発動させた。
修士さんだけが地面に叩きつけられた。
「っぐあ!」「修士!…ドジが。」
小堀さんは俺の落としたガムを握った。
がしっ!
「しまっ…!」「…捕まえた。」


様々な恐ろしい光景が鮮明に思い出された。
そのなかに、低い、恐ろしい声が聞こえた。
―あいつらが、憎いでしょう。
誰や、お前は。
―私ですか?…黒水晶ですよ。我がマスターよ。
俺の、石?
―さぁ、力が欲しいでしょう?総てを、私にお預け下さい?私に総てを。
ぐらり。意識が途切れかけた。
っち、呑まれて…たまるか!!


「ああああああああああああああああああっ!!」
ばしん、と小堀さんの手を払う。
「な!」「っはぁ、はぁ…た、むら…大丈夫、か…?」
「…あ、あ、悪い、な。」
そういってはいるが、まだ小刻みに震えている。
「川島ぁ!」修士さんがこっちに向かって走ってきた。
ヤバイ!!
動け、動け、動け!!動けや、俺!!!!
嫌な汗が頬を伝った。
「グ、グアアアアアアアアアア!!!!!」いきなり小堀さんが叫んだ。
「、小堀!っち、もうか……。…ふん、今日は終いや。またな、川島。」
最後の意識で、小堀さんを担ぎ、修士さんは去ってったところが見えた。
「GOOD NIGHT、良い夢、を…。…田、村…。」
そして何か濁った感情とともに意識は遮られた。

この戦いで聞こえた黒水晶の声を又聞くことになるとは、思わなかった。

happy end…?
 [麒麟 能力]
 [2丁拳銃 能力]