後藤秀樹編[1]

327 : ◆UD94TzLZII :2007/02/17(土) 14:08:17
◆LsTzc7SPd2さんのザ・プラン9編とロザン編をベースにさせてもらった話です。
326 : ◆UD94TzLZII :2007/02/17(土) 14:06:50

「なぁ、宇治原。」
「何や?」
宇治原はカタカタとパソコンを打ち鳴らしながら、耳をかたむけた。
「次にコッチに入れる人やねんけどさ。」
「あぁ。」
「・・・・この人、どお?」
菅に差し出された写真の人物を見て宇治原はニヤリと笑った。
「・・・・ええな。」

♪〜
「ん?・・・・久馬?」
コンビを解散し、仕事でも全く会わなくなった元相方からの突然の電話に後藤は首をかしげた。
「はい。もしもし、何?」
ーお前、変な石渡されてへんか?ー
そう後藤に聞く久馬の声にはどこか緊迫感があった。
「へ?石って何?どういう石?」
ー持ってないんやったら、ええわ。ー
「何の事?話がわからんのやけど?」
疑問を発する後藤に久馬は念を押すように言った。
ーええか?誰かに石
コンコン
「ごめん。誰かきたみたいや。その・・・石の話はまた今度な。」
ーあ、ちょっと、ごと。ー
このときの久馬の慌てように後藤は気付かなかった。そして電話をきり、ドアを開けた。
「・・・・なんや、ロザンか。どないしてん?」
「はい。実は後藤さんにお話があって。」
「入ってもええですか?」
「あぁ、別にかまへんよ。」
彼はロザンを部屋に入れた。・・・・それが大きな誤算とも知らず。

「後藤さんに渡したいものがあって。」
「何?」
「これです。」
後藤に差し出されたのは黄色い石。だが少し、くすんでいる。
「石?」
後藤の頭には疑問ばかりが浮かんでいた。
「はい」
「そういえば、さっき電話で久馬が石がどうのって言うてたなぁ。これ何の石?」
「「え・・・?」」
二人は先をこされたか。と唇をかんだ。
しかし、こんなことで宇治原はひるまない。
「なんていってました?」
「いや、なんか変な石もらわんかったか?って聞かれたわ。」
ならば。と宇治原は薄く笑った。まだきちんとした存在を知らないのであれば・・・・いける。
「これ。お守りなんですよ、きっと久馬さんもこれを後藤さんに薦めようとして・・・。」
「そんな感じやなかったけどなぁ。」
しぶとい後藤に宇治原は最終手段を使った。
「実はですね・・・・」
宇治原は今起きているこの石の騒動を簡潔に後藤に話した。もちろん、自分たちに都合の良いように。
「じゃあ、久馬は・・・・。」
「はい。後藤さんをそっちに引き込もうとしてるんですよ。」
「そんな・・・久馬が・・・。」
後藤は困惑の表情を浮かべた。そして宇治原は成功を確信して言葉を放った。
「ですから、この石を持って僕らと一緒に戦いましょう。」
「・・・せやな。」
後藤はまだ状況が飲み込めないようで心許ない返事だったが宇治原が引き込むのに成功したのには変わりなかった。
「よろしく、お願いしますね。」
菅が後藤に石を手渡した。

「あぁ。頑張るわ。それで久馬が救えるなら・・・。」
後藤は強くその石を握り締めた。
「急にすいませんでした。」
「あぁ、ええよ。なんかお前ら二人じゃ大変そうやしな。」
「では、失礼します。」
「あぁ。」
そして二人は部屋を出た。
「こんなに簡単にひっかかるとは・・・予想外やな。」
「俺は予想通りや。あの二人が今でも仲ええのは有名やからな。」
菅は楽しそうに笑った。
「ありがとな。」
「何言うてんねん。後藤さんなんて単なる通過点、やろ?」
「せやな。」
今度は二人でこれから起きる出来事を想像しながら、より一層楽しそうにわらった。
♪〜
「ん?」
菅の携帯に電話がかかってきた。
「誰?」
「後藤さんや。・・・はい、もしもし。」
ーあぁ、菅か?どないしよ!久馬からさっき電話があったんや!−
「え?久馬さんから?」
その言葉に宇治原は動きを止めた。

「なんやと・・・?」
「久馬さんはなんて?」
ーそれが・・・さっきの続きやってんけど・・・ごめん・・・整理がつかん・・・。−
「あかんなぁ・・・。後藤さんもう混乱してもうてる。今能力使われても困るし・・・。」
菅は電話口を遠ざけ宇治原に助けを求めた。すると宇治原は何かを思いついたようで菅にこう言った。
「・・・・ええ考えがある。電話貸せ。」
菅は宇治原に電話を渡した
「もしもし。俺です。宇治原です。」
ーあぁ・・・。宇治原か・・・。なぁ、どないしよ・・・。ー
後藤は頭を抱えているのがわかるような悩ましげな声を発していた。
「落ち着いて聞いてくださいね。いいですか?取りあえず、久馬さんと二人で会う約束してもらえますか?」
ーあ、あぁ・・・。それで・・・?ー
「それだけです。あとは何とかなりますから。」
ー・・・・わかった。じゃあな。ー
それだけという言葉に、後藤は疑問を感じていたようだったが、電話は切れた。
「・・・・そういうつもりなら、こっちにだって考えがあんねや。」
「何?教えてや。」
「見てればわかる。さ、行こか。」
「なんや楽しみやな〜。」

そして後藤は久馬を呼び出していた。
「どないしたん?急に呼び出したりして?」
「あぁ。ちょっと用があるんや。」
「そうか。なぁ・・・後藤。」
「ん?」
「お前、石持ってるやろ?」
一瞬、後藤は硬直した。
「え。何の事や?」
「黒い石、持ってるやろ?」
「持ってへんって、そういえばこの間もそんな話しとったなぁ。」
「ごまかしたって無駄や。」
鋭い眼光が後藤に向けられた。
「・・・さすがやな。そうや、石は持っとる。」
そして、そこから少し離れた場所に二人はいた。
「え?ばらしてええんか?だって久馬さんは・・・・。」
「計画通りや。もっと久馬さんには後藤さん追い詰めてもらわな。」
菅は反論しなかったが宇治原の考えてる事がわからないらしく、不満げな顔をした。
「なんや。見てわからんの?」
「うん。」
「せやからな・・・」
宇治原は菅に耳打ちした。
「・・・そういう事かいな。」
「この間の浅越さんの事で敏感になっている上に相手が後藤さんと来たら・・・・そうなるのが筋やろ?」
菅は改めて相方の頭の良さに感服し、少し恐ろしく思った。


一方後藤と久馬は緊迫した会話を続けていた。
「久馬、お前が持ってるんは悪の石や。誰にもらったんか知らんけどすぐに捨てた方がええ。」
「それは出来ひんな。」
後藤は必死に久馬を説得した。しかし、それはいとも簡単にかわされてしまった。
「なんでや?」
「俺が持ってるのは悪の石とちゃう。お前が持ってるんが悪の石や。」
「何を言うてんの?」
突然投げつけられた、事実とは異なる話に後藤は苦悶の表情を浮かべた。
「お前その石、宇治原にもらったやろ?」
「だったらなんや。」
「あいつはその石に操られてんねん。」
「・・・何、言うてん?訳わからん・・・。」
またも後藤は混乱し始めた。頭を抱え、その頭の中では必死で自分を正当化していた。
「もう少しや・・・もう少しで・・・・。」
その会話を聞き、宇治原はほくそ笑んだ。
「その石は絶対に使ったらあかん!その石は人間の意識を・・・。」
「待って・・・・頭痛い・・・頭・・・おかしなりそうや・・・。」
後藤は苦しそうにうずくまってしまった。
「後藤・・・!?うっ!!」
辺り一面に黄色い光が放たれると、後藤はふらりと立ち上がった。
「・・・しい。」
「え?」
後藤は久馬を睨みつけ、呟いた。
「俺は・・・正しい。」

そして、後藤は久馬に攻撃をしかけた。


「成功や。」
宇治原は嬉々とした表情で呟いた。
「さすが、宇治原やんな。」
「あぁ。あとは、久馬さんを倒してもらうだけや。」
「残酷やなぁ、お前は。」
菅はクスクスと笑った。
「・・・・褒め言葉か?」
「当たり前やん。」
そして二人で笑った。
「じゃあ、俺らは高みの見物といこか。」
「せやな。」

「後藤!やめろ!」
「うるさい。・・・お前は敵や。正しいんは、俺らや。」
「後藤!」
久馬が必死で叫ぶと久馬の石が光を放った。
「俺、知ってんねんぞ。お前のその石、単体やと何の意味もないんやってなぁ?」
「くっ・・・・。」
「さぁ、おとなしく観念せぇや。」
後藤はニヤリと笑うと、雷をおこした
そしてそれを久馬に放り投げた
「ぐぁ!」
「痛いやろなぁ・・・。どうや?元仲間から受ける攻撃は?」
「っく・・・。」
久馬は見たこともない後藤の表情を見ながら衝撃に耐える事しかできなかった。
「もう一発いくで〜。」
次々に後藤は久馬の身体に雷を放り投げ、その光景を宇治原たちは楽しそうに見つめた。
しかし、10発目で雷が落とされようとした時。
「・・・・っあ!!」
「・・・あ〜ぁ。よけてもうたか。もうちょっとで黒焦げやったのに。」
後藤は至極残念そうな顔をした。

「はぁ・・・っ、はぁ・・・っ。」
「もー終わりか?久馬?」
後藤は久馬を見下ろして言った。
「ごと・・・っ。」
久馬は立ち上がろうとするが力が入らないようで再び地面に伏した。
「・・・弱いな、こんなもんかいな。」
そして、最後に蹴りをかますと、後藤は宇治原を呼んだ。
「さ、行くで。」
三人はその場を去った。
「ごとーさん。ぴったりみたいですね。その石。」
「あぁ。」
「その調子でほかの人もお願いしますね。こっちは人数増やしときますんで。」
「あぁ、次に襲うんは・・・」
後藤は膝から崩れた。
「え〜。気ぃ失ってもうた。」
「初めてやったからだいぶ精神力使ってもうたんちゃうん?」
「そっか。でもどうすんの?」
宇治原は久馬の倒れている場所を指して言った。
「あそこに放っておいたら?多分今の事覚えてないやろ。」
「せやね。」
後藤を運ぶと、二人はその場を去った。

「う・・・。あれ、俺?」
目が覚めた後藤は久馬を探した。
「久馬!」
後藤は倒れている久馬に駆け寄った。
そしてその久馬の姿を見て悟った、自分がやったのだと。
しかし、何をしたかは覚えていなかった。
「ごめんな、でもお前を助ける為や。」
後藤の言葉に久馬はうっすらと目を開け、掠れた声で話した。
「ちが・・・おまえ・・・・。」
しかし、その声は後藤に届かない。
「きっとほかの仲間も持ってんのやろ?」
「ごと・・・・やめろ・・・・。」
「お前の石は俺が持ってる。」
後藤は久馬の手から石を取り出した。その石は何故か火傷してしまいそうな程酷く熱い。
「・・・俺が救ったるから。」
こうして、後藤は間違った正義へ一歩を進めた。



336 : ◆UD94TzLZII :2007/02/17(土) 14:34:46
終了です。

後藤秀樹
アラゴナイト(霰石)
心にたまった負担による心と体の不調を取り去り、心を穏やかにする。
力:混乱を治め、自分に対しての悪に攻撃をしかける。
自分が正しいと思えば思うほどその力は強くなる。
条件:何が正しいのかわからなくなり、混乱した時。
混乱が最大要因なので、使いすぎると頭と心の整理が付かなくなり、所持者が狂う。
そして、混乱の原因は戦いの後にすぐ忘れる。戦いにおいて、それが混乱をよぶから。

入り切る文字数がわからなかったので極端に改行ない・数が多くなってしまいました。
読みにくかったらすいません。
 [ザ・プラン9 能力]
 [ロザン 能力]