ザ・プラン9編[3]


344 名前:22  投稿日:04/11/29 13:20:22

「翡翠は西大后が愛してやまない石。だから中国では王の石、もしくは王家の石と呼ばれてるんや。
 他にもネパール産のジェダイドという種類があるけど、鈴木さんのは簡単に加工することが出来た。
その柔らかさからネフライトだと考えられる。正真正銘の、王の石。」
「へぇ。じゃあ鈴木さんは王なんですか。」
「あの石にとってはな。」
「すごいですねぇ。」
人気のない喫茶店で、浅越はヤナギブソンと2人きりで話をしていた。
浅越の方から、大事な話があると呼び出してきたのだ。
「ところで、なんでみんなでなく俺だけ呼んで話したんですか?」
「そりゃ、なぁ。あんなことがあった後じゃ、顔合わせづらいから。」
「そんなことないですよ。みんな心配してましたもん。やから今から・・・浅越さん?」
一緒にみんなに話しに行こう。ヤナギブソンがそう言おうとした瞬間、浅越の様子が変わった。
魂が抜けたように、定まらない宙の一点を見つめている。
「浅越さん!どうしたんですか?浅越さん!」
慌てたヤナギブソンが肩を強く揺すぶると、浅越はものすごい力でその手を振り払う。
表情が、変わった。
この間、灘儀を突き飛ばした時と、同じ表情に。
「今は王だ。けれど、暫定のな。王なんて下らない。あの石を叩き壊し、全てをこの手で叩き壊してやる!」
「あ、浅越さん?」
「黒の力の前に、己の無力さを思い知るがいい。」
浅越は邪に笑みを浮かべ、喫茶店を出て行く。
異常だ。このまま行かせてはいけない。
そう思い、勘定を済ませて急いで後を追いかけたが、
外に出たヤナギブソンの視界に、浅越の姿は確認できなかった。


ヤナギブソンとの電話を切った鈴木は、険しい表情を浮かべる。
「ギブソン、何やて?」
「久さんも灘儀さんも、早く帰った方がいいかもしれないですよ。」
「どういうことや?」
「俺の言った通り、この石に他の石が呼応するならここにいたら危険です。多分今から、ゴエが来ますから。」
それを聞いて、久馬と灘儀の表情も険しくなる。この間のことが、鮮明に記憶に残っている。
「どうしてゴエがああなってるのかは分かりませんけど、危険と分かっていて巻き込めませんからね。」
「じゃあ俺は残ろうっと。」
「久さん!」
「だって俺のゴールドストーンにどんな力があるか分からんけど、鈴木を助けられるかもしれんやん。」
「あきません!危ないって分かってるのに残るなんて。」
「俺も残るわ。」
「灘儀さん!」
「俺の力でお前を助けられるなら、残るのが当たり前や。」
「けど・・・・」
「それに、ゴエを元に戻す方法も考えなやしな。」
「だめです。危険すぎます。」
「5人でプラン9やのに?」
「5人そろって危ない橋を渡る?やめてください。そういうのは、俺一人でもできます。」
「・・・・分かった。じゃあ俺も灘儀さんもここに残る。」
「久さんっ!」
「これはリーダーの決定。異議は?」
「卑怯です!俺は2人には危ない目に遭うてほしくないから・・・」
「それは俺と久馬も同じや。」
「・・・・・・・。」
2人の言い分に、鈴木はそれ以上言い返せなかった。確実に危険は近づいてくるのに。