品川庄司編 [2]


754 名前:619 ◆QiI3kW9CIA  投稿日:04/10/04 19:53:35

「ただのビー玉なんじゃねぇの?」
品川の言葉を思い出して、庄司は口元を吊り上げた。
品川、なんにも知らないんだ。
目の前には傷だらけの男が倒れている。

石を手に入れたのは数週間前の事。
淡い光を放っていたそれに、庄司は引き込まれた。
力が、自分の中に入ってくる感じ。それも強く。
庄司は石を拾い上げ、胸のポケットにしまった。
自分が、とても強くなった気がした。

そして今に至っている。
あの日から襲われる事が多くなった庄司は、襲ってくる人間を片っ端から潰していった。
欲望を叶えたい。力が欲しい。それらの多くは石を持たない弱者だ。
中には能力者もいたし、石を封じようとする人間もいた。
そういう奴も、潰していった。石は奪った。
力を使って、相手を倒す。
いつしかそれが、彼の楽しみになっていた。

傷だらけの男の頭を踏みつけながら考える。
どうして自分はこんな事をして楽しいのだろうか。
本当にこんな事がしたいと思うのか。
呻き声に耳を塞ぎながら、目を閉じた。
誰か、止めてくれないかな。
相方の顔が浮かびそうになったが、何処からか怒号が叫ばれた。
石が、眩しく輝く。体中に力が沸き起こる。
唇が吊り上る。
もう相方の顔なんて浮かばなかった。


 [品川庄司 能力]