タカトシ短編

304 :名無しさん@板分割議論中 :2007/02/03(土) 03:59:56

「さぁ、これでおしまいだ」 「白いユニットを舐めんなよ?」

名前は売れていなくても、芸人であれば石は持てるし能力も使える。
駆け出しの若手ともなればそれぞれの勢力に入り少しでも先輩芸人達に媚を売るのも、出世へのちいさな第一歩だ。
名も無い下っ端若手芸人たちは少しでも上の人たちに認められようと日々争いを続けている。
白いユニットと黒いユニットの争いは、日常的に人気の無いところで起きていた。

「くそっ…あの石を持って帰らなきゃ、また怒られる」
不利な状況に立たされた黒いユニットの若手芸人が呟いた。
「それだけは勘弁して欲しいけど…この状況じゃぁ…」
二人とももう戦える状態ではなかった。

対峙した二組は無言のまま睨み合っている。
真夜中の人気の無い廃ビルに静かな時間が流れた。

その均衡を破るかのごとく、廃ビルの残り少ない窓ガラスを豪快に突き破って何かが勢い良く飛び込んできた。
それは白いユニットのコンビの足元に着地してコロンと転がった。ちいさな白い…ゴルフボールだった。
突然のことに呆気にとられた白いユニットの若手たちは次の瞬間意識を失うことになる。
二人の顎に強烈なアッパーが入ったのだ。
「ほらほら〜。先走るからこうなるんでしょ?」
両手を痛そうにプラプラと振りながら、立ち上がったのは坊主頭が印象的な事務所の先輩芸人だった。
ゴルフボールがあった場所に人間が突然現れた。そんなありえない状況に唖然とする若手の頭をポンと軽く叩く。
「いくら石を奪えといわれたからって、無理しちゃ駄目。逆に石を取られたら迷惑になっちゃうからね」
助かったという安堵感に気が抜けてへたり込んだ若手コンビは、
気を失った白いユニットのコンビの手元から淡々と石を回収する先輩をぼーっと見ているしかなかった。

「終わった?」 「結構あっけなかったよ。やっぱ若手は勢いだけだね」
遅れてやってきた相方に石を投げ渡し、若干痺れの残る両手をズボンのポケットにねじ込む。
「コントロールはばっちりだったろ?」
無駄に誇らしげに言う相方に、坊主頭は眉を顰めた。
「おまえなぁ…いつも言ってんだろ。必要以上に強く叩くなって」
「良い音がするからつい…」
きつい口調で言われたにもかかわらず、相方の男は悪びれする様子も無く飄々とした態度で答える。

「んじゃ、後はこっちで上手くやっておくから。お前ら自分たちで帰れるな?」
立ち上がってズボンの埃を掃っていた後輩芸人に坊主頭が声をかける。
「はい」 「大丈夫です。ありがとう御座いました」 
ピンチを助けてもらった上に、家にまで送ってもらうなんてとんでもない。
二人は短い返事をして急いでその場から立ち去った。

ビルから離れ、街中へと戻ってきた若手コンビ。
駅へと向かう途中、片方がポツリと呟いた。
「黒には見えないのにな…」
それを聞いた相方は相槌を打つ。
「優しい感じなのにね…トシさん」
「タカさんだって大人しそうなのに…な」

306 :名無しさん@板分割議論中 :2007/02/03(土) 04:04:11
トシ
ジェムシリカ(意味:自己表現/色:青)
能力…丸いものに変身する。タコ・壷・○○ボール・卵・etc
   変身中はその物のサイズや性質もちゃんと持ち合わせている。
   例)タコの場合→軟体を活かして狭い所に入れる。
     壷→硬い&重いので敵の上に落ちて攻撃
   戻るタイミングは本人の意思一つなのでいつでも戻れる。
   例)壷で敵の上に落ちる。ダメージを与えた後地面に落下する寸前に戻れば割れないですむ。
条件…石を持っていない(身に着けていない)タカにツッコんでもらわなければいけない。
   (持っているとタカの能力が発動してしまうので)
   使用後の大きな体へのダメージや変化がない代わりに、相方がいなければ無力。